スコーン製造24時
一銭にもならないのにスコーンを作る人が居る…
今日はその製造業者*1に密着する。
スコーン製造業者の朝は早い
スコーン製造業者の朝は早い…今日はGレコの舞台挨拶上映の日*2だ。
さらにその後、CSMのオンリーイベント、THE HENSHIN*3に参加する。スコーンはまだ作らない。
終了時間を1時間勘違いしていたため、滑り込みの入場であった。
「っぶねー…」
昨日行っとけば良かった。そう語る製造業者だが、動揺の色は無い。おそらく何度も同じ轍を踏んで来たのだろう。
「仮面ライダーサイコー!!」
明日の予定など無いかのように屈託の無い表情でイベントを後にし、このまま就寝するのではとスタッフが危惧し始めたころ、
「ちゃんと覚えてますって!任せてください!」
その言葉どおり、材料に買い出しのため大型のスーパーに足を運ぶ。
時刻は19:30。いよいよスコーン作りが始めるのだ。
スコーン買い物
「スコーン作りは材料選びからなんです」
スコーンの基本の材料は薄力粉*4。小麦粉の中でもグルテンの少ない、クッキーなどに使用されるものだ。グルテンの量に応じて、中力粉、強力粉と名前を変える。
1番安いのはどうかと思ったのか、2番目に安い小麦粉2kgを手にとり、続いてバターを選びにいいく。
バターはその油分で小麦粉を繋ぎ、まとまりを良くすると共に風味を演出する。マーガリンやサラダ油でも代用は可能だが、せっかくなのでとバターを使う様だ。
今回作る予定のスコーンは3種類。チョコチップ、ココア、シナモンスコーンだ。
記事のフレーバーをつけるシナモンとピュアココアをカゴに入れ、続けて具材となる板チョコ、アーモンド、ドライクラムベリーも確保する。
卵と牛乳と砂糖とベーキングパウダーを揃えて、スコーンのための材料が揃ったようだ。
夕飯用の半額のラム肉とネギとオクラとトマトを追加し、Idで手早く支払いを済ませる。
愛用の自転車に荷物を乗せ、出発して僅か5秒。急なUターン。
「あっぶねっ!」
どうやら包装用の袋を買い忘れたようだ。併設されてる100円ショップで放送用の袋2種類と念のためクラムベリーを買い出し、駄菓子も一緒に買う。計5点。
「4点とかだとつい1個買っちゃうんですね。端数なくすために。思う壺って感じです」
会計の結果は544円。端数が出てしまった。困惑する氏にスタッフが軽減税率*5の説明をする。単に余分な買い物をしただけである。
一つ賢くなった氏、心無しか帰路の足も軽い*6。
スコーン製造開始
21:00。帰宅。
いよいよスコーン作りが始まる。
まずは小麦粉に砂糖、ベーキングパウダーを加えバターを馴染ませベースとなる粉を作る。
生地の製造工程は全て透明な袋の中で完結する。衛生面の心配が少なく、後片付けが簡単。製造業者がスコーンにこだわる理由がこれ*7だ。
本当はブラックジャックが使うインスタント無菌室が欲しいと言う。なるほど、料理ではなく製造と呼べる光景になった。
このベースにフレーバーや具材を追加しバリエーションを出して行く。
- チョコチップスコーン=ベース+バニラエッセンス+刻んだ板チョコ
- シナモンスコーン=ベース+シナモン+クランベリー
- ココアスコーン=ベース+ココア+刻んだアーモンド
という具合だ。
刻む処理も袋に中で行われる。
ベースを袋に分け始める製造業者。その数4つ、3つのはずでは?
「なんとなく4の方がキリがいい*8気がして」
このフレキシブルさが、人生を豊かにする*9のかもしれない。
しかし材料は無い。困る製造業者。ふと、コーヒースコーンを閃く。
すぐにネットでレシピを検索し5件ほどにレシピを確認し、ドリップコーヒーを使えば作れる事を知る。
ドリップコーヒーを淹れる。
こうして幻の4つ目のスコーンが生まれた。
- コーヒースコーン=ベース+コーヒー+刻んだチョコ
ベースにフレーバーを馴染ませ、いよいよ生地に成形する。
生地は粉に卵と牛乳を入れ、まとまるまで馴染ませたあと折りたたむように形を整える。
順調にチョコチップスコーンの生地を作り、包丁で切れ込みを入れ、冷蔵庫に保管する。
続いてシナモンスコーンの生地を作るときに事故は起きた。
「あ…!」
袋の中ではまとまる気配の無いスライムの様な物体が居た。*10袋に生地がくっ付き離れない。牛乳が多過ぎたのだ。こうなると成形が難しい。
普段よりベースの粉に量を少なくしフレーバーの種類を増やそうと試みたのが裏目に出たようだ。
ここまでの作業は全て目分量。料理は科学。分量の大事さを教えてくれる。
リカバー大作戦
時間は25:00
気が付けば日付が変わっていた。
「リカバーしてみよう」
粘性の強い生地を袋の中でどうにか集めると、強力粉を投入し始めた。そして中で生地のかたまりを回し、強力粉を表面全体に塗す。
袋の内部が白くなり、生地が袋に付かなくなった。その後何事も無かったかのように生地の成形を始める。リカバー成功である。
うどんの打ち粉にヒントを得たという。四国出身であるという香川県との薄い接点が何か作用したのだろうか。
こうして4種類の生地を作り上げた製造業者。いよいよ焼くだけである。
一旦生地を冷蔵庫で冷やし、形を整える。その間少し休憩を取る製造業者。時間は27:00。
起床
起床。
眩しさぬ目が眩み全身が重い。なんとか時間を確認すると4:00だった*11。寝てしまったようだ。
不思議と全く焦燥感感じない中、理性でスコーンを焼き始める。
オーブンの温度は180度。20分。テンポ良くいけば2時間ほどで焼ける計算になる。
だが今のコンディションで20分待つのは難しかった。何度か寝落ちを繰り返す。
肉とネギを焼くだけに簡単な朝飯を調理しつつ、てどうにか全て焼き上がった頃にスマホが8:00のアラームを鳴らし始めた。予定より2時間の遅れだ。
出発する準備を整えつつ、移動時間を確認する。10:00に出れば間に合う。
梱包作業
まだ一つ作業が残っている、包装作業である。
今回のスコーンは売るわけではない。しかしなるべく貰って嬉しい、貰いやすいものにしたい。
「真心を込める」という表現が正しいのかは分からないが、人にあげるものはなるべく作業量を惜しまない様にする、それでダメならしょうがない。
単に自分が納得するための作業。
時間は9:00。経験的に30〜40分で終わる事を見越して、梱包作業を進める。
100円ショップで買った袋にスコーンをなるべくバランス良く入れていく。後半は数のバランスが変わるのが気になる*12。
袋への仕分けが終わった後、マスキングテープで固定する事で完成する。
そして9:30。全ての梱包作業が終わった。
「やっぱり2日前には作っとくべきだったわ…」
昨日も同じ事を思ったことに気づきながら、バッグにスコーンを入れ南の島への長い配達の旅が始まる…
今後ともよろしく!