琉大卒の愛媛県民が関東に就職した話

琉大アドベントカレンダー7日目担当のOB枠マクダラです.現神奈川県民です.

adventar.org

 

来週の宣伝も兼ねて,就職についてのお話を書こうかなと思います.

記事の目的としては就職の選択肢を広げられたら良いなってのと,自分のための振り返りがメインなので,何かの参考になれば…

前提として,今の仕事は「R&D」と呼ばれるものでバリバリの開発とかじゃなく,研究職と呼ばれるものです.しかも機械学習系に限るというニッチさ.

就活に興味があるかつ研究室に配属されてないB3にはピンと来づらいかもしれませんので,まずは大雑把に研究職って何?って話からしようかと.比較的長くて読みづらいと思うので,気になる項目をかいつまむ感じで…

研究職って何?

研究って何?

まずそもそもの話ですが,「研究」ってものがイメージしづらいかもしれません.実際,大学での研究企業での研究は開きがある気がします.

これについては学習データが足りない*1ので凄く極端な例かもしれませんが,

大学では「社会全体のための研究」をしていた気がします.基盤のための基盤のための基盤のための基盤の研究みたいな.これでも応用研究*2に寄ってる方だと思うけど…

会社では「会社のための研究」をする事になります.もう少し言うと,

「会社のためになる事」=「社会のためになる事」=「お金になる事」

って感じでしょうか*3.お金が貰えないと会社が立ち行かなくて,会社が立ち行かないと社員が路頭に迷ってしまいますね.

まとめとしては,大きな意味での研究は社会を良くする*4仕事と捉えてもらえればいいかと思います.

技術基盤を固める仕事

ここからは会社的な研究の話.さらに言うと弊社的な話.

かっこよく言ってみましたが,「手札を増やす」って感覚が近いかなと思います.

技術系が好きな人は新しいサービスやツールが出ると一旦試したり調べたりすると思いますが,あれと基本的には一緒です.

何で特別何か凄いことをしてるって訳ではないというか,お仕事ってのはお金が発生している限り何かしら凄いことなんじゃないかなって気はします.職に貴賎無しみたいな?*5

では,ここでいう手札とは何でしょうか?

「会社として出来る事」かなと思います.まあ結局のところ技術です.

イメージとしては「何が出来るか?」を増やすのが研究職,「どうやるか?」を増やすのが開発って感じですかね*6.両方やられてる人が多い気はするので,そういう意味では世の中の開発のお仕事にも研究的な要素は含まれるはず.

あえて違いを挙げるとしたら「使うどうか分からないけど,念の為手札を増やす」というのが開発的な仕事との差かもしれません.投資ですね.*7

お金になるのが遅い

開発と研究に明確な境目はないですが,お金になるタイミングの違いである程度分類可能かもしれません.

開発は完成したらお金になる,というよりお金にするために完成させて,
研究は完成*8した段階では本当に使われるかは不透明な事が多い気がします.

これを無駄と見るか投資と見るかは経営判断というやつな気がしますので,良い悪いは会社や社会の状況次第だと思います.

何か会社側で「こういう新しい事を便利にやりたい!」ってニーズ*9が出た時に

「こんな事もあろうかと,準備しておきましたよ!」

って出せるのが理想.*10

中・長期的な視野で見た時にトータルのコストを下げるための投資って事なので,基本的にはお金になりづらい…

お金になりづらいという事は,会社のお荷物扱いされる事もあり得るので,「社内での理解(予算)を得る」というのがR&D的には大きな仕事らしいです.政治力…

スコーン配って政治力を養ってます.割と好評で良いぞって感じ.

業務形態は就職先で変わるらしい(伝聞)

とはいえ弊社は60人規模の中程度の会社なので,天下の大企業だとまた話は違うらしい.

企業の規模が大きくなると,プロジェクト毎,研究分野毎,に細分化されて上からサーベイや集計仕事が降ってくるというR?&D職もあるらしい.それはそれで勉強になる事は多いので悪い訳では無いらしいけど,強めの政治力を求められる事もあるらしいので大変そう.

あとはプロジェクトじゃなくて,研究所としての運営だったり,国とかが運営してる場合もまた違う話だったりで結構幅広いっぽい.研究職に就きたい人は自分の研究スタイルとよく相談して考えよう!

今の会社でのR&D

R&D+開発

さて,じゃあ実際のとこどうなの?って話.

まあ実際には研究だけしたら良いってほど人手に余裕はないので,開発も並行してやる事になりました.そりゃーそう

後で出てくるけど,それはそれで出来ることが増えたので大事かなって気はしました.研究的に凄いアルゴリズムが出来たとして,それをサービスにするのは結構ギャップがあるのでそれをどうするか…みたいな視点はやらないと持てなかったな.想像力に依存する話かもしれない.

上司の方針が「転職出来るスキルを持ちつつ会社に居たいってのが大事」*11らしいので,かなり色々作業を手伝わせてもらった気がする.

想像してたR&Dではなかったのは事実だけど,結果的には利益は大きかった印象です.まあ入って見ないと分からない事のうちの一つ.

何気に研究の追実験する時のデバッグの仕方とか調べ方はめっちゃ役にたった.やはり手を動かすのは経験値が違うな.

当然R&D的な仕事も任されてて*12,結構な部分の開発を上司が引き取ってくれてる雰囲気がある.上司何も言わないけど.

トータルの割合だとR&D:開発=4:6って感じかな?もうすぐ5:5ぐらいにはなるはず.

基礎研究が出来る!(宣伝)

この項は宣伝.

弊社はこの規模の会社としては珍しく,基礎研究*13に予算が割かれています!

1年目の新人に自由な研究活動を推奨して,それを後押ししてくれるってのは良いと思う.論文読んで金をもらえる!!!!!!*14

研究した人は分かるかもしれないけど,大学院に行っても十分に研究出来たってなかなか言いづらい*15部分はあるよね.なんとか今回では十分に研究したぞって言いたい.

10年前の自分に自慢出来る研究成果を出す*16のが目標です.

スキルアップ的な話

出来たこと:機械学習全般の知識,自然言語系の技術,Python

多分関心がありそうな話としてはこの辺かなと思って書いた*17.成長記録.こんな事も出来なかったんですか!?ってのはあるはず.ごめん.

ちょっと学部も院時代も論文読むのとゲームと映画に時間使いすぎて,あんまり技術者って意味では物足りない感じでした.*18

20年以上「やれば出来る子」と言われて続けて,未完の大器としてその生涯を終えるかに見えたマクダラの社会人生活や如何に?

出来る様になった事:git, (簡単な)docker, django, mysql, AWS周り,Excel, Tableau
オントロジー,グラフ系の機械学習,翻訳系,声質変換

まあやれば出来たよね.もちろん,実サービスにこの辺の技術を使ってアプリをリリース出来ますか?って言われたらNOだけど…

元々新しい事が好きだったってのがあるとは思うから,運が良かった結果といえばそう.

個人的に一番成長したなって思うのは,Docker周りの知見と知識グラフベースの話を獲得出来た事かなと思います.

Docker調べれば調べるほど混乱するけど,ただ使うだけならまあ使えるから…

インターン生用にWinPCにVM立ててDockerでJupyterの環境構築して提供」って(俺の中で)一大プロジェクトを成功させたので満足感ある.DockerのDの字も知らなかったのに良くやったぞ当時の俺.

知識グラフというかオントロジー周りはまだ勉強中だけど,どうも職人にならないといけないらしいので,この世界全てがグラフで見える目*19持ってる同期から目を盗もう.

知った事:お金って共通の評価尺度の認識

あとは当たり前の事だけど,世の中お金で回ってるんだなって…

我々新入社員にどれぐらいのコストがかけられてて,それを回収するのに色々営業さんが頑張ってて,頑張りやすい*20ように我々も頑張る.みたいな?食物連鎖的な動きが見えたよ俺には.

「お金になるか?」ってのは「どれだけ需要があるか?」って話だし,そういう視点で研究とか考えれるようになったのは後々便利そうだなって気がした.

それはそれとして俺がやりたいかどうか?ってのも大事にするけども.共通の評価指標があるのは便利*21だなって実感

進学か就職か

永遠のテーマ.答えは出ない.一応両方やった身としての話を書きます.

前提としてある程度「研究したい人」向けなので,研究が嫌いな人は多分学部から就職するはず?

研究苦手だけど好きって人も「研究したい人」に含んでます*22

結局のところケースバイケース.ただ,色んな人に色々相談していっぱい考えるのが大事かなと思います.当たり前の話ではある.

進学

俗に言う院進.研究活動がしたいなら一旦これって感じ.

ルートとしては,琉大内の院に行くか,他の大学の院に行くか.どちらが良いかは,自分の研究内容やスタイルとの相談が大事になりますね.

他の大学の話は,大学,研究室ごとにまた変わるはずなので知見不足な俺の話は割愛して,琉大内の話をすると,研究環境としては割とちゃんとしてるんじゃないかなと思います.

「ちゃんとしてる」のも色々な尺度があるとは思いますが,学生のやりたい研究をさせてくれるって意味では先生方が結構フォローしてくれる印象*23*24です.

メリットとしては,ある程度自分の好きな研究が出来ることが大きい.後,生涯年収は高いらしい*25.

デメリットとしては,お金がかかること.学費もあるし,その間の生活費などもあるから親御さんの理解が必要というのが,人によってはハードルかもしれない.

後は,学生のやる気や研究動向,研究方針など読めない要素が多くて,2年後どうなってるか自分でも分からないのはリスクかもしれない.

就職

「就職して研究」という話だと,最近のAI技術者需要で入れる枠はありそう.

ただもしかしたら,いきなり研究職ってよりは,一度開発を経由しての研究職に昇格ってパターンかもしれない.そもそも俺が就活した時は研究職自体少なかった…

学部卒で研究職にって人よりは,「研究か開発か悩んでる」って人が多いのかな.

就職してみて,実際の開発現場で得られる経験値効率はかなり良いことが分かったので,開発を一回学んで社会人で院にって手もあるかもしれない.

ただ,「何がしたいから研究職なのか?」とか「何がしたいから開発なのか?」って部分を自己分析する方が将来的にお得かもしれない.

研究も開発もいわばただの手段なので,目的をまずしっかり見据えると良いんじゃないかなって.

こちらのメリットは,ちょっと書いちゃった経験値効率と,後何と言ってもお金がもらえる!自分の責任のもと,自分の好きに出来るってのは大事なステータス.

デメリットは,自分のやりたい事ができるとは限らないって事かな.仕事を好きでやってる人がレアらしい話もあるし,運だね.

外から見た琉大の話

学生を見ると,(もちろん個人差はあるけど)かなりみんな色んなことが出来る気がする.結構講義内容の派生*26が業務で使えたりするので,「あ!これ講義でやっったやつだ!!」が出来る.

設備的な話だと,やっぱり機材が豊富なお金のある大学の方が強い.琉大も頑張ってるのかもしれないけど,そこまで潤沢な予算はちょっと無い印象がある.ただ,設備がある研究室もあるので,その辺のリソースがあるところとうまく協力するとかになるかな

システム的な話だと,学科のVMはかなり便利で助かるし,Slack文化はかなり先進的.学科のインフラを学生が管理してるのもレアだから,学生ファースト的なシステム作りはかなり意識されてるように見えますね.

あとは何より,学生間の交流が密ってのは偉いね.知り合いの数は力.卒業生が後輩とここまで接点があるのも同期の大学話聞いてもあんまり無いようなので,大事にしていきたい所存.今後ともよろしく.

好きこそのものの*27,とは言うし色んなことに興味を持って欲しいなって老婆心な感じ.

まとめ

いろいろ書きましたが,何か参考になる話はありましたか?あったら良いな〜…

研究職系は情報も多分少ないので,興味がある人は色んな情報ソースを持っておくと研究としても*28雑談の話のタネとしても便利かと.

気になる事があればブログのコメントでも,TwitterでもSlackでも気軽に聞いてもらえればいいかなと思います.

(ここから宣伝)

もう少し細かい話が聞きたい人は来週12/09(月) 18:10~から逆求人イベントがあります!弊社以外にも面白い企業さんがいっぱい来る*29ので,就活〜?って思ってる人は是非!

www.studenthunting.com

スコーン*30もあるよ!*31

*1:今話題の過学習起こしてる.研究テーマでもある

*2:まあ比較的サービスってものに組み込めそうな研究.機械学習系はかなりこっちより.それを支える基礎技術も同様に大事.この辺の話もいつか…

*3:違うかも?誰か教えて

*4:もっとも,この「良さ」に絶対的な指標は無いので,どうやれば「良く」なるのか?を考えるのもある意味仕事

*5:もちろん,個人的な対価への納得感の有無はあるにせよ.

*6:この辺の定義付けはサーベイしてないので危険かもしれない

*7:何か一歩でも成果があれば人類全体にとっては有益.ただ何が「成果」になるかはやってみないと分からないので,既存の問題を解決します.って事が多い

*8:研究の「完成」なんて無いですが,まあ区切りとなる成果が出た.ぐらいのニュアンスで開発との対比で使ってます

*9:需要.=お金の匂い

*10:なんでしょうか?すみませんこの辺まだ未経験なので想像です.

*11:会社としてはそうでも無いかもしれない.

*12:じゃなかったら転職してる

*13:技術的な基盤となる研究.機械学習の速度上げたり,新しいアルゴリズム考えたり,いつか使えるはず!なシリーズ.いわばサービスの種.大事.

*14:ちゃんと開発の方は進めてるって前提での研究活動なので問題無い…はず

*15:個人の感想です.実際にどうなのかは謎.

*16:本当は子供に自慢したいけど,予定は無いので一旦

*17:でもこの辺の話,ただ俺が頑張れたってだけで他の人読んでて楽しいのか?って気はしたけど,うるせー俺のブログだ!って書いた.アドバイスがあれば是非…

*18:その分,研究周りの知見は同期内でも上位だったんじゃないかと思ってる.どうだろ?まあ比べるもんでもないけども

*19:真の意味でのメタな視点

*20:凄いでしょ!?お金ください!!って言いやすいようなものを作る

*21:危険でもある.評価軸は複数用意するのが基本だけど,まあ共通言語的な用途としては便利

*22:居るのかな?居て欲しいけど

*23:もちろん,研究室や研究内容,先生の他のお仕事の兼ね合いもあるので一概には言えませんが…なるべくフォローしてくれる先生を選びたい

*24:学生はフォローしたくなるような学生を目指せばWin-Win

*25:だからと言って院卒したら絶対儲かるかって言うと,もちろんそんなことはない.結局個人の頑張りと運

*26:OSとか

*27:だからと言って,上手じゃないから好きじゃないとは言えない.詳しくさと好みは相関するけど,上限は人によるみたいな.

*28:Googleに聞くより専門家に聞く方が早い

*29:助けて

*30:弊社とは一切関係の無い個人的な私物

*31:イベント中じゃなくて,イベント前後で渡す事になるかも