変身について

変身

[名](スル)他のものに姿を変えること。別の姿・ようすになること。*1

一般的には変身はこういう定義らしい.特撮界隈でも特に大きな意味合いの差はないように思う.変身といえば変わる事らしい.正しい.

ただ,特に仮面ライダーにおいては変身という響は特別な意味がある.

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なにせこんなタイトルのイベントが開催されるぐらいだし.

端的に言うと特撮における変身とはデフォルメなのだと思う.

 

何か伝えたい自然言語+感性的なものを,視覚情報に変換して表現する,日本人が得意とするやつ.

という事で,その時々の変身を見れば時代の流れ的なものが分かるんじゃないかと思った.しっかり調べるには遅いので,簡単に知識の範囲内で考えてみる.

昔の変身

古くは「肉体が変わる」というのは大雑把に畏怖の対象だったように思う.

国内外問わず,人間が人外に変わるのは罰や刑の側面が強く出てる気がする.

今イメージしてるのは,狼男や吸血鬼,妖怪といった民間伝承的なモンスターたちだけど,神話とかまで考えるとどうだろ?

自身の姿を自由に変身させる神は多いし,ロキなんて馬と子供までもうけてた.そういう意味では変身自体には憧れが投影されているように見える.

「鳥になりたい」や「貝になりたい」みたいなあれ.

実際空を飛ぶことに対する憧れは比較的自由に空を飛べるようになった現代でも根強い.アイアンマンやスパイダーマンが人気なのも,ある程度その部分はありそう.

ただその変身対象が好まれないものだと,やはり神話でも罰として描かれる.ゴーゴンやアラクネが代表かな.蛇や蜘蛛は西洋的にはNGらしい.日本も蜘蛛はダメか.土蜘蛛とか居るしね.蛇は結構神様率高いからその辺は文化の差かな.

姿を変える神様に関しては,変身ってより変装って感じがするかも.バレないようにだったり,移動のためだったりの利便性が強い印象?

あとはカエルの王子様も有名どころか.童話とかは〇〇に変えられてしまったの!って展開をよくみる気がする.今でいうとこの異世界転生的な,導入のしやすさって面はあるのかもしれない.産業になると効率化はやむを得ないね.

神事的なものだと,神や怪物に扮するのは定番中の定番な気がする.獅子舞やなまはげは言わずもがな,海外のお祭りも何かに扮することは多い印象.日本だと神を降ろすって概念があるし,扮したものとの同一化を目的にはしてそう.そういう意味ではコスプレと一緒かもしれない.

神話でも怪物の素材を纏ってその力を得る展開は多い.直接着てなくても,返り血を浴びたシグルドとか.そう意味で「相手の力を得る」目的の変身は古今東西で見られる感じがある.

変装と違うのは,変身前後で変身者が別の存在になっていることじゃないかと思う.

相手の力を得るということは,大なり小なり今までの自分からは離れるはず.

この辺の概念は特撮的な変身ってテクニカルワードの用法に近そう.

力を得るのは,何か今の自分では届かない目的がある事が多いだろうし,その場合はかなり一致することになる.成長,別離の要素も含んだ変身というか.

まあ神事の場合は,扮する事が神を奉る事になるから,それ自体が目的だったりするし一概には言えないんだとは思う.要調査かも.

まとめると,「変われる」範囲は「着る」「食べる」程度で,それ以上の変化は罰や刑として見なされる傾向があるように思う.

今の変身

以上を踏まえて今の変身を考えると,本質的な部分は変わってないような気がする.

まあ現代は価値観の多様化がそのまま概念の多様化に繋がってるので,個人間で同じ単語を正確に同じ意味で解釈するのは難しいって事もあるけど…

少なくとも「劇的に憧れに近く手段」として「変身」という単語が用いられてるような気がする.女性誌でも割と変身って見るって事は多分かなり一般的な単語.

「姿を変える」って事が昔よりもポジティブに捉えられてそう.

もしかしたら,昔だと「姿が変わる」というのは「(罰や事故,病気などで)誰かに変えられるもの」で,今は自分から積極的に変わる傾向があるのかもしれない.

より拡大解釈すれば「変化に寛容になった」と言えるのではないだろうか?

昔は保守的である事が生存戦略だったが,今はそれは淘汰される戦略になってきている.若者が,なのか若者を教育するより大人な層が,なのかは分からないが,そういう風潮を作っているように感じる.

Vtuberとか出てきたと思ったらあっという間にVR空間で自分の好きなアバターになれる時代だもんな.さもありなん.

もしかしたら今の子たちにとって「変身」というのは特に特別なものではないのかもしれない.変わらない事が当たり前の時代から,変わる事が当たり前の時代か.

まあ結局どっちか一方では破綻するので,両輪でって事なんだろうけども.温故知新.

まとめると,「変われる」範囲は思い付く限り全てで特に外見的な部分に関してはタブーらしいものはかなり薄い.

今の特撮の変身

というのを踏まえて,特撮における変身はやはり「メッセージのデフォルメ」で,昔の流れを組むなら神事に近い傾向がある気がする.

まあこの辺は歌舞伎とかのデフォルメ文化を下敷きにしているので,当然と言えば当然.歌舞伎はかなり特撮っぽかったので特撮ファンの人は是非試しに.

変化に富んだ時代を反映しているからなのか,最近はフォームチェンジが多い.時代の流れと予算の流れは関連があるし,少子化でおもちゃが売れにくいから乱発出来るものをってのもあるんだろうな.

変身から時代を追う作戦,結構うまくいった気がするので,次はちゃんと調べながらやってみたい.国内に絞って歌舞伎とか時代劇とかの話と絡めてやった方がよさそうだな.

 

「だから見ててください!俺の!変身!!」

俺にとっての変身はこのフレーズ.ある意味変身が当たり前の時代なら,変身って聞いてイメージするものである程度プロファイリング出来る?流石にそれは特撮脳すぎるか…もう少し変身話を追いかけたい…

 

ブログってこういう事を書くのが正しいのかな?テスト.